宅建業の営業を始めるには免許を取得しなければなりません。ではその免許は誰でも取得できるのでしょうか?

残念ながら宅建業免許は誰でも取得することはできません。宅建業免許を取得するにはいくつかの要件を満たす必要があります。

ではその要件とはどのようなものでしょうか?

宅建業免許の要件

宅建業免許の要件は次のように分類することができます。

  • 事務所の要件
  • 人的要件
  • 欠格要件

簡単に説明すると、事務所の要件とは「独立した」事務所であることなど事務所の形態についての要件です。人的要件は宅地建物取引しや政令使用人を設置しなければいけないという要件で、欠格要件は成年後見人や暴力団員などは免許を取得できないという要件です。

宅建業免許の要件はかなり細かく設定されていますので、ここからは一つずつ丁寧に解説していきます。

宅建業免許の要件① 事務所の要件

要件の解説を始める前にまずは、宅建業における「事務所」の定義から説明します。

宅建業における「事務所」の定義

宅建業では本店と登記されている所在地は事務所とされています。ですので例えその本店で宅建業を行う予定がなくても事務所として取り扱われます。

登記されている支店はというと、実際にその支店で宅建業を行う場合は営業所となります。逆に宅建業を行わないのであれば営業所にはなりません。

なので登記上の本店は宅建業免許を受ける必要があり、支店の場合は実際に宅建業を行うのか行わないのかで判断することになります。

独立した事務所であること

宅建業の免許を受けなければならない「事務所」を理解していただいたので、ここから要件を説明していきます。

まず業務を継続的に行える機能を有していることが要件です。これは電話や机、椅子などの備品があれば要件を満たすことになります。申請時に添付書類として事務所の内部の写真が必要になるので、きちんと揃えるようにしましょう。また、机や椅子は従業員の人数分を確保していないと申請時になぜ不足しているのかを聞かれる可能性があるので、できるだけ人数分を確保したほうがいいです。

次の要件は「事務所の独立性」です。これはとても重要な要件で、特に他社と同居して事務所を設置する場合、マンション等の一室を事務所にする場合、戸建て住宅の一室を事務所にする場合に問題になります。

宅建業では原則として上記の場合は営業所とすることはできないとされています。なぜなら「事務所の独立性」が確保されていないからです。

例外的に「事務所の独立性」が確保されていると認められるケース

ただし上記の場合でも営業所と認められる場合もあります。例えば住居として使用している戸建て住宅の一室を事務所にすることは原則ではできませんが、住宅の出入口とは別に事務所の出入口が備わっている場合は例外的に営業所として認められることもあります。

他社と同居している場合でも、他社と出入口が別で他社と間仕切りなどで区切られているなどの条件を満たせば営業所と認められることもあります。

このような例外にあたる場合は申請時に平面図や間取り図が必要になるので注意が必要です。

またこれから宅建業の営業を始めようとされる方で「事務所の独立性」が確保されているのかご心配な方は、行政書士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

宅建業免許の要件② 人的要件

次に宅建業免許の要件である人的要件をみていきます。こちらの要件は宅建士の設置と政令使用人の設置の2つです。

それぞれ詳しく説明します。

宅地建物取引士の設置

まず宅地建物取引士の設置ですが、1つの事務所において従事者5人に1人以上の割合で設置します。従事者が10人なら2人以上、15人なら3人以上設置するということです。

ちなみに5人に1人以上なので、従事者が5人の場合に5人全員が宅地建物取引士でも問題ありません。

また代表者は必ず本店の従事者として取り扱われるので、本店で5人が働いているケースだと代表者を含めて従事者は6人とカウントされます。なのでこのケースでは宅地建物取引士が2人以上設置する必要があります。

宅地建物取引士は事務所に常勤していることと宅建業の業務に従事していることも要件です。なので他の法人で代表者や役員を務めている方や他の法人の従業員などは認められないことになります。

申請会社の役員であっても常勤で宅建業の業務に従事するのであれば問題ありません。しかし役員でも監査役等は認められないので注意が必要です。

宅地建物取引士であっても宅地建物取引士証が発行されていないと申請ができないので、きちんと発行しているのか忘れずに確認するようにしてください。

政令使用人の設置

続いて設置しなければいけない政令使用人を説明します。まず政令使用人は宅地建物取引士とは異なり、必ずしも設置しなければいけないわけではありません。設置しなければいけないのは次のような場合です。

  • 本店で代表者が常勤できない場合
  • 支店を設置する場合

つまり事務所は本店のみで、その本店に代表者が常勤している場合は政令使用人を設置する必要がないということです。

では次に政令使用人について説明します。政令使用人になれるのは「契約を締結する権限を有する使用人」です。一般的には支店長と呼ばれる役職の方などが政令使用人として認められています。(※支店長という役職でも契約を締結する権限を有していない場合は認められませんのでご注意ください)

また政令使用人は宅地建物取引士と同じく事務所に常勤していて宅建業の業務に従事していることが要件になります。

ちなみに宅地建物取引士と政令使用人は兼ねることができます。

宅建業免許の要件③ 欠格要件

最後の要件である欠格要件をみていきましょう。

欠格要件は代表者、役員、申請者の法定代理人、政令使用人が欠格要件に該当しないかを確認します。

欠格要件は宅建業法で定められていますが、とても長いのでここでは抜粋したものを使用します。(※重要な要件なので申請するときは必ず確認するようにしてください)

また欠格要件に該当している場合は申請できないので、しっかりとヒアリングをするようにしましょう。それでは欠格要件の一部を見ていきましょう。

  1. 5年間宅建業の免許が受けられない場合
  2. 成年後見人の場合
  3. 破産して復権を得ていない場合
  4. 暴力団の構成員などの場合

この中で5年間宅建業の免許が受けられない場合を少し説明します。これは免許を不正取得したり、情状が特に重い不正不当行為をしたり、業務停止処分違反をして免許を取り消された場合などのことです。

くどいようですが、宅建業免許の欠格要件はとても重要ですので、くれぐれも確認を怠ったりしないようにしましょう。

まとめ

宅建業免許の要件について解説させていただきました。ご理解いただけたでしょうか?

いくつもの要件がありましたが、中でも事務所の要件と欠格要件は特に問題になることが多いので、申請の際は慎重に確認することが必要だと思います。

また宅建業免許の要件で判断に困ったりしたら、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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