【宅建業免許】新規で免許を取得した後はどんな手続をすればいい?

宅建業免許を取得するためには申請する書類を作成したり、添付する書類を収集したりと、やらなければいけないことがたくさんあります。そして申請をして無事に免許を取得したあとも、やらなければいけない手続などがたくさんあるのです。

では実際に宅建業免許を取得した後にどのような手続きをすればいいのでしょうか?

この記事では、宅建業免許を取得した後に必要な手続き、また手続き以外のやらなければいけない義務について解説させていただきます。

宅建業免許を取得した後に必要な手続き

宅建業免許を取得した後に必要な手続きは主に2つあります。「供託か保証協会に加入」することと「取引士の勤務先等の変更登録申請」です。

まずは「供託が保証協会に加入」することを詳しく説明していきます。

供託か保証協会に加入

宅建業免許申請の許可が下りると、申請者の事務所本店宛に通知のハガキが送られてきます。その後、供託か保証協会に加入のいずれかを選択し、手続きを行います。

この手続が必要なのは、宅建業の取引で債務が生じたとき、一定範囲でその債務を担保するためです。そして、この債務を担保するお金を営業保証金といいます。

また宅建業は不動産を取扱うため、高額の債務が生じる可能性が高く、債権者を保護する必要があります。そのため、「供託か保証協会に加入」のいずれかの手続をしないと、宅建業の営業を始めることができないとされています。

では、「供託と保証協会に加入」のどちらを選べばいいのでしょうか? また違いは何なのでしょうか?

一つずつ見ていきましょう。

供託

まずは供託から説明します。供託とは、営業保証金を供託所に供託することです。供託は主たる事務所の最寄りの供託所で行います。

供託する金額は、本店(主たる事務所)と支店等(従たる事務所)で異なります。本店は1,000万円、支店等は500万円です。支店等は1カ所につき500万円なので、支店等を2カ所置く場合は1,000万円を供託することになります。

また供託は現金以外ですることも可能で、国際証券や有価証券で供託することができます。

では次に保証協会に加入する場合を見ていきましょう。

保証協会に加入

保証協会とは、国土交通大臣から指定されている公益社団法人のことです。この保証協会では、供託と同じように営業保証金の範囲で債権者が弁済を受けれるようになっています。

現在、保証協会は2つ指定されていてます。「全国宅地建物取引業保証協会」と「不動産保証協会」です。2つのうちどちらかを選んで加入します。

保証協会に加入すると入会金や年会費が必要ですが、営業補償金は供託と比べるとかなり低額です。保証協会の場合、営業保証金は弁済補償金分担金といいますが、納付額は本店で60万円、支店で30万円となっています。支店は一カ所につき30万円なので、2カ所なら60万円となります。

供託と比較すると初期費用を抑えられるので、多くの新規事業者は保証協会を選んでいるのが実情です。

宅建業の営業を開始するには供託か保証協会に加入をしないといけないので、いずれかを選んで早めに手続きをしましょう。

取引士の「勤務先」等の変更登録申請

次の宅建業免許を取得した後に必要な手続きは、取引士の勤務先等の変更登録申請です。

新規免許申請の際、専任の取引士は「取引士資格登録簿」に勤務先名が登録されていない状態であることが必要です。例えば、以前勤めていた勤務先から新規で免許を取得した勤務先に変更になった取引士は、この変更登録申請が必要になります。

手続は取引士本人がすることとされています。東京都で変更登録申請をする場合は次の書類が必要になります。(※ 必要書類は各自治体ごとに異なりますので、東京都以外の方はそれぞれの自治体に確認してください)

東京都で取引士の変更登録申請をするときに必要な書類

  • 宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書(様式第七号)
  • 宅地建物取引士証
  • 入社証明書(入社日記入)※代表者の場合や、免許換え申請、個人から法人・法人から個人への申請をした場合は、添付不要
  • 本人の印鑑

上記の書類等を用意して、変更登録申請を早めに行いましょう。

宅建業免許を取得した後にやらなければいけない義務

ここまで宅建業免許を取得した後に必要な手続きについて解説してきました。ここからはやらなければいけない義務について解説していきます。

宅建業免許を取得した後にやらなければいけない義務は主に3つあります。

やらなければいけない3つの義務

  • 証明書の携帯等の義務
  • 帳簿の備付けの義務
  • 標識の掲示等の義務

上記の3つがやらなければいけない義務になります。これらはどのような義務になるのでしょうか? 一つずつ見ていきましょう。

証明書の携帯等の義務

まず一つ目は証明書の携帯等の義務です。証明書とは、その事務所に従事していることを証明するものです。正式には従業者証明書といい、顔写真や氏名などが記載されている手の中に納まるくらいの大きさの証明書です。

様式が指定されているので、それを参考にして作成しましょう。また自治体によってはダウンロードできるところもあるので、活用してみてください。

参考までに下に「従業者証明書 見本」を貼付しておきます。

証明書の携帯

従業者証明書は携帯する義務があります。これは宅建業法で定められていて、宅建業者は従業者に証明書を携帯させなければ、その者を業務に従事させてはならないとしています。

証明書の提示

また証明書は取引の関係者の請求があったときは、証明書を提示しなければなりません。こちらも宅建業法で定められている義務です。

従業者名簿の記載

従業員証明書の他にも、従業者名簿を作成することも義務付けられています。従業者名簿とは、従業者の氏名、生年月日、取引士であるか否かなどを記載したものです。

この従業者名簿は、取引の関係者の請求があったときは、閲覧に供しなければならないとされています。さらに従業者名簿は、最終の記載日から10年間保存しなければならないことにも注意が必要です。

また従業者証明書と同じように、こちらも様式が定められています。書き方などは下のリンクを参考にしてください。(※ 従業者証明書の記載例も載ってます)

帳簿の備付けの義務

続いての義務は、帳簿の備付けの義務です。帳簿とは、宅建業の取引について記載した書面をまとめたものです。

帳簿に関する義務は次の通りです。

帳簿の備付け

まず帳簿は、事務所ごとに備付けなければいけません。事業所ごととされているので、支店が複数置かれている場合は、その支店ごとにそれぞれ備付けることになります。

帳簿への記載

次に帳簿への記載に関する義務を見ていきましょう。宅建業者は取引があったつど、その旨を記載しなければならないとされています。

記載しなければいけない事項は、取引年月日、取引物件の所在・面積・代金・報酬の額、取引に関与した他の宅建業者の氏名などです。

帳簿の閉鎖及び保存

作成された帳簿には閉鎖及び保存の義務があります。閉鎖は各事業年度末日に行い、保存は閉鎖後5年間するものとされています。

しっかりと義務を順守するようにしましょう。

標識の掲示等の義務

3つ目の義務は、標識の掲示等の義務です。標識とは、宅建業者であることが記載されたものです。

こちらも様式が定められており、宅建業の免許証番号や免許の有効期間などを記入して作成します。

標識の掲示

作成した標識は、宅建業法で公衆の見えやすい場所に掲示しなければならないと定められています。

ですので、本店や支店のお客様の目につきやすい場所に掲示するようにします。

報酬額表

報酬額表も標識と同様に掲示義務があります。報酬額表は国土交通省のホームページでダウンロードできます。

まとめ

宅建業免許を取得した後に必要な手続きと義務について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?

宅建業免許を取得した後は、供託か保証協会に加入し、取引士の変更登録申請をしたり、また従業者証明書や帳簿、標識などを作成・掲示等をしなければならないことなどご理解いただけたかと思います。

この記事に書かれていること以外に、宅建業免許を取得した後の手続などで疑問がある方は、各自治体や宅建業免許申請を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。

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