【宅建業免許】政令使用人とは?設置が必要なのはどんなとき?
宅建業免許を取得するためには、人的要件や事務所の要件などいくつかの要件を満たす必要があります。
その中の一つに政令使用人を設置しなければならないという要件があります。
政令使用人とはどのような人なのでしょうか? また政令使用人を設置しなければならないのは、どのようなケースなのでしょうか?
この記事では、政令使用人について詳しく解説させていただきます。
政令使用人とは?
宅建業免許を取得するときに、ある一定のケースで設置が義務付けられている政令使用人。まずは政令使用人とはどのような人なのかを解説します。
政令使用人とは、事務所(本店や支店)を代表して契約を締結する権限を有する者です。つまり従業員や社員では政令使用人にはなれまません。
政令使用人には店長や支店長のような立場の人がなることができます。
ただし店長や支店長であっても、一定の要件を満たさなければ政令使用人にはなれません。どのような要件なのかは次に説明します。
政令使用人になれる人 / 要件
政令使用人になるには、「常勤性」と「専従性」の2つを要件を満たす必要があります。
「常勤性」とは事務所に常勤しているということで、「専従性」とは専ら宅建業の業務に従事しているということです。
ですので、たとえ事務所を代表して契約を締結する権限を有している店長や支店長などであっても、事務所にあまりいない人や宅建業の業務に従事していない人は、「常勤性」と「専従性」を満たしていないため、政令使用人にはなれません。
政令使用人になれない人 / 欠格要件
政令使用人には欠格要件があり、それらに該当する場合は政令使用人になることができないので注意が必要です。(※免許を受けることもできません)
ちなみに政令使用人の欠格要件は大きく2つに分類できます。「5年間免許を受けられない場合」と「その他の場合」の2つです。
また「5年間免許が受けられない場合」に該当していても、その行為などから5年以上経過していれば免許を受けることはできます。
まずは「5年間免許が受けられない場合」から見ていきましょう。
5年間免許を受けられない場合
- 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をして免許を取り消された場合
- 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をした疑いがあるとして免許取消処分の聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行った場合
- 禁固以上の刑又は宅地建物取引業法違反等により罰金の刑に処せられた場合
- 暴力団の構成員である場合
- 免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は不当な行為をした場合
主に過去5年で宅建業に関して不正や不当な行為をした場合です。
では次にその他の場合を見ていきます。
その他の欠格要件
- 破産手続の開始の決定を受けて復権を得ない場合
- 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな場合
- 心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない場合
- 事務所に専任の取引士を設置していない場合
2は暴力団の構成員などが該当します。3は単に精神的な疾患を指しているわけではなく、成年被後見人などのことです。
上記の場合に該当すると政令使用人になれないのはもちろんのこと、宅建業免許を受けることもできないのでお気をつけください。
政令使用人を設置しなければならない場合
ここまで政令使用人とはどのような人なのか、また政令使用人になれる人やなれない人について解説してきました。
政令使用人は冒頭でもお伝えしたように、必ずしも設置しなければいけないわけではありません。
ここからはどのような場合に設置しなければいけないのかを説明していきます。
設置しなければいけないケースは次の場合です。
- 本店で代表者が常勤できない場合
- 本店以外の事務所を設置する場合
上記の場合は政令使用人の設置が必要です。
ですので、本店に代表者が常勤しているような場合は、政令使用人を設置しなくてかまいません。
また本店以外の事務所に代表者が常勤するのであれば、本店以外の事務所には政令使用人を設置する必要はありませんが、この場合は本店に政令使用人を設置しなければならないので注意が必要です。
政令使用人と専任の宅建士は兼任可能?
宅建業免許を受けるための要件に専従の宅建士を設置する必要がありますが、専従の宅建士と政令使用人の兼任は可能なのでしょうか?
これは同じ会社で同じ事務所であれば兼任は可能です。当然ながらこの場合、政令使用人が宅建士の要件を満たしている必要があります。
ちなみに宅建士は政令使用人の要件を満たせば政令使用人になれますが、政令使用は宅建士の資格がないと専従の宅建士になれませんのでお気をつけ下さい。
まとめ
宅建業免許の政令使用人について解説させていただきました。疑問は解消されましたか?
政令使用人になれる人となれない人、また設置が必要な場合などご理解いただけたかと思います。
また政令使用人についてこの記事に書かれていないことで疑問に思うことや不安があれば、管轄の行政庁や宅建業免許を専門にしている行政書士に相談されることをおすすめします。